「俺は――、死ぬわけにはいかないんだ」
妖怪退治屋、天城家の末裔である斗也はいつものようにそう呟いて、拳を握る。
彼にとって、妖怪退治は仕事であり、復讐の手段だ。
10年前に妖怪の手で殺された天城慎一郎。
自身の父親であるその男の仇を果たすために、今日も斗也は妖魔”葵紅”と共に妖怪退治に繰り出すも、なかなか仇敵の尻尾は掴めずにいた。
しかし、ある日彼の前に強力な妖気を持った”ヒトガタ”の妖怪が現れる。
人間の少年のような姿をしたそのヒトガタは、意味深な笑みを浮かべながら
「……10年前」
と斗也に語りかけるのであった。